故ダグ・サーム「没後10周年企画」と銘打ち、今年初めにVanguardよりリリースされたトリビュート・アルバム『Keep Your Soul: A Tribute To Doug Sahm』。顔ぶれも米・国境音楽のビッグネーム揃い、「こりゃー世の中“竜巻”騒ぎになるぞー」と浮き足立ちましたが・・どうも微風すら吹かぬ様子。Web上でも、TanyさんやTex-machineさんといった信用筋が取り上げてくれてないので、せめて、トリビュート。ダグ、RIP。
1. She's About A Mover (Little Willie G.)
2. And It Didn't Even Bring Me Down (Los Lobos)
3. Too Little Too Late (Alejandro Escovedo)
4. You Was For Real (Greg Dulli)
5. Dynamite Woman (Dave Alvin)
6. Ta Bueno Compadre (It's OK Friend) (Flaco Jimenez with the West Side Horns)
7. Texas Me (Delbert McClinton)
8. I'm Not That Kat Anymore (Terry Allen)
9. Why, Why, Why (Jimmie Vaughan)
10. You're Doin' It Too Hard (Charlie Sexton & The Mystic Knights of The Sea)
11. Nuevo Laredo (The Gourds)
12. Be Real (Freda & The Firedogs)
13. Adios Mexico (Joe "King" Carrasco & Texas Tornados)
14. Mendocino (Shawn Sahm)
で、中味。トッパチ、当然っちゃー当然の選曲#1ですが、いきなりコレが良い!キレ・コクともにちょうどいい塩梅。歌うは、LAチカーノの伝説、ダグとロスロボスの中間点、Little Willie Gさん。荒すぎず、端正なガナりで飽きません。そしてギター(とプロデュース)にはライ・クーダー!ドラムはその息子。生い立ち上、ジム・ケルトナーの鳴りモノを子守唄代わりにしてたであろうこの息子、さすがにそんなカンジ。しかしライ・クーダーは歳とってどんどんワルくなってくるなー!今1番やさぐれた音出すんじゃないかなー。実にイイ。この曲がこんなに楽しめたのは意外(実は私、ダグ自身の演奏でさえ楽しめない・・・お約束感ムンムンの大ヒットですから)。
続く#2はもー選曲勝ち!この曲大好き。The BeatlesのFor SaleやらPast Masters(Ⅰ)に紛れてても良さそうな、でもしっかりチカーノ出汁も効いてる名曲。そういえばNRBQの同種のトリビュートでも、ロボスは必殺“Never Take the Place of You”やってたなー。
#3のはさすが現役感バリバリ。ストリングスの感じとか、堂に入ったところです。ダグより出来よくない?アレハンドロから流れで#4、聞いたときまず「おーここでチャック・プロフェットかー」と感心しましたが人違い、この人知りません。
#6、#13、#14、あたりはさすがの身内で貫禄。ご子息ショーンは大活躍。くーっ孝行息子。オーギーにはぜひDylanと同伴で来日して欲しい。“Adios Mexico”はTHE SPEED BALLSのレパートリーでもあります!このフラーコのピロピロ~がハモニカで出来るといいんだよな。。録音のバックは、そのまま現行トルネードス。#5、アルヴィン兄弟・兄は、軽さが身上。いいです。こう軽くはなかなか出来ない(私は遅れてきたBlastersファン、中古CDをコツコツ集めてます)。#11のゴーズ(?)も、同様。男の軽さがうらやましい。キーボードのソロで、オリジナルにはないけどオーギー節が出るのがカッコイイ。 #9、Jimmy Vaughnはもう、完璧でしょう。個人的には、もっともっとこの手のティアドロッパーを選んで欲しかったと強く思う。しかし、どんなスタジオで録音してるのか?
そして#7、#12、がこの盤の魂(ソウル)と呼べましょうか。マルシア・ボールはダグがシスコからTexasに戻ったときに一緒にバンドやってたとか読んだ記憶がある。さすがの歌唱。個人的には、やはりベストは#7ジョー・エリーかな。この曲だけは、コケられない設定の中、K点越えで来ましたー。残念だったのが、#8、#11あたり。企画聞いて、Mercuryのベスト盤だけ聞いて選曲したカンジで、愛がない(真偽不明)。チャーリー、もう少し出来るだろう??
総じて。テキサス人大結集の盤で、私お腹いっぱい、大満足でした。やっぱ、曲がイイわ。選曲にもう一工夫あっても良かったので、第2弾を、今度はTEXMEXづいてるというBOBやNRBQ、サンフランシスコ組、サニー・オズナ(存命?)とかも交えて、ぜひ。TSBで参戦するなら?“Beautiful Texas Sunshine” でしょうか?>バンマネ様
それにしても、このジャケ。。。 3人以上の会議で「コレにしよう」となったとはとても思えないシロモノ。地味で気持ち悪い。購入を見送る人もいるだろうなぁ。私的、本リリース1番の収穫といえば、ライナー内の写真。楽屋のトルネイドース(フレディお茶目)、そしてすごいモミアゲ時代のダグの破顔一笑のVサイン。この写真がジャケだったら、絶対「竜巻」吹いたと思う。